子ども達にとってどんな場所でありたいか

1.<生まれてきてよかったー>と感じる居場所

「生まれてきてよかった」と感じるのはどんな状態かな?どんな心持かな?と考えました。
個人が尊重され、自分らしくいていいんだという居場所があることだと思います。どんな状況でも自分が自分でいられること、これ程強いことはありません。そして、さらに他者と繋がっているという実感・自分がまた1歩成長できたという自信・そして心ふるわす感動…等々。そんな居場所となり、心ふるわす体験を保育園という環境の中でどうやったらできるかを常に考えていきたいと思います。
 新入園児が保育園に入ってきて思い切り泣く姿をみると安心します。泣ける環境であるということが、まずは第1条件と思うからです。泣く行為は子どもの大事な表現方法です。0歳児にとってはいろんな主張や状況伝達を泣くことでしているのですから。
それから、怒ること。これだって、安心していないと出来ないですよね。怒ることと泣くことは同じところから出ていると思ってます。
 泣いて怒って、自分を出して、それでも大丈夫だと分かってくると、みるみるうちに安心してのびのびとした表情になりますよねー。新入園児さんのこの表情をみると、(あなたもまつえっ子になったね)と感じて嬉しくなります。そして周りの人たちとの信頼関係の中で、笑顔がどんどんみられるようになります。まずはここから。乳児は一にも二にも愛着形成だと思っています。スキンシップは、「生まれてきてよかった〜」が実感を伴って互いに交換できる最も効果的な手段だと思います。担任に抱かれて安心しきった顔・友だちとのじゃれつき遊び…そこから時にぐずったり甘えたり、本気でけんかしたり…をみるにつけ、どれだけの濃さをもった人とのつながりが、その子がその子らしく生きていくためのもっとも根幹になっているのだと気づかされます。
 自分自身が受け入れられ、心が満たされてはじめて他人に対して、相手も自分と同じ気持ちをもっていることを理解したり、こうしてあげたいと思って動いたり、時に自分を我慢してコントロール出来るようになっていくのです。
 そこで次に他人は自分と違う人間だとも気づき始めます。ここが違うからダメだと自分を恥じたり、相手を排除したりするのではなく、(人と違ってていいんだ)(皆んな違うんだ)とありのままを認めて、それが当たり前になってほしいと思います。
一見皆同じで安心するのは日本人の性かもしれません。同じようなに見える人たちで集まってグループになり、でも心の底で違和感を密かに感じたりしませんか?でも出せなかったり、違うと分けられて排除されてしまう怖さを感じませんか?引きこもりやいじめの本質がこういうところにあるのかなって思います。
<本当は皆んな違って当たり前ですよー>って言いたい。<それでいいじゃん>って分かってどんな人とも付き合える人になれたら、怖さを越えてそれを面白がれたら、この先の人生がさらに生き生きしてくるような気がしてならないのです。
 その上で(じゃあ、違う人たちがそれぞれこの場所で気持ちよくいるためにはどうしたらいいか?)と考えられるようになってくると思うのです。各々が苦手なところは助け合い、得意なところ・好きなところを生かして伸ばしてやっていく。これって大なり小なり社会を作る上での基盤だと思いませんか?ですから、色んな子が必要なんです。この場所や体制が許す限り、色んな子を受け入れて、色んな人同士が自分を出し合ってぶつかったり傷ついたりしながら学び育ち合って、そして将来も色んな人と付き合っていかれる人たちになってもらいたいと思っています。

2.挑戦も失敗も何度でも出来る場所

色んな人がありのままの自分を出して育ち合う環境ってどんな所だろうと考えます。
もって生まれた性質も色々、興味をもつものも好き嫌いもバラバラ。そんな子どもたちが生きて学び成長していくという強い力を備えて生まれてくるのです(生きとし生けるものすべてに備わっている力だそうです)。だったら、それぞれの子どもの持つ力を信じて、挑戦や失敗がいくらでもできる環境を少しでも作っていこう!とそこに行き着きます。身体を通して学べる機会を多く持てるのはこの乳幼児期しかありません。この大事な時期に挑戦や失敗繰り返して学ぶ機会を私たちは子どもから奪いすぎてきてしまったと思えて仕方がありません。
 そんな環境をどうやって作るか…私が園長を交替した2017年から今までの保育を振り返りながら先生たちと考えていきました。物的・人的・時間的にそれをじゃましているものって何だろう?と考えていくと、本人が集中して主体的にやっている遊びを区切ってしまう活動や場所の使い方、年齢で使用制限され、細かいルールがある遊具…そして、最大のストッパーは心配や不安や責任・<子どものために>という私たち大人の意識と行動(先回りして口出し手出ししてしまう)だと感じています。
まずはハード面から少しづつ変えるところから始めました。そして、2018年に園庭研究会に参加しました。それは、専門家に見てもらいながら自分たち(保護者と職員・地域の方々)で園庭をはじめとした保育環境を手作りしていき、その中で自由に遊ぶ保育実践と「挑戦や失敗が保障される」保育環境のために<私たち大人はどうしたらいいか>という考え方がつまっている研究会でした。出会った時に、(探していたものは、これだ!)と思いました。
 2018年夏から、実際に園庭を変え始めました。子どもが今欲している学び=遊び=遊び環境を目の前の子どもたちから教えてもらいながら、その度に応えていかれるよう実践と研修を通して、私たち自身が変化していきたいと思っています。
                          松枝保育園 園長 高柳 桜